Special Guest:ODE DAISUKE
スペシャルゲスト:大出 大輔さま /アストロゲート株式会社 代表取締役
はい前回、喋りきれなかった分いっぱい喋ろうと思います。よろしくお願いします。
アストロゲートは世界中でスペースポートを企画・運営する会社として本格始動しました。スペースポートはロケットを打ち上げる発射場ですが、将来的には着陸する港にもなります。宇宙ビジネスの出発点として、人工衛星の打ち上げや宇宙旅行、さらには月や火星への移住の拠点にもなるんです。私たちは「人類に新たな出会いを」というビジョンを掲げています。スペースポートは宇宙との出会いの場所になるんです。我々の構想は、アニメ「ガンダム」で言えばスペースコロニーを作るようなものかもしれません。将来的には、地球上だけでなく、月や火星にもスペースポートを作る可能性があります。
8世紀までは船が主な長距離移動手段でした。例えば、東京からロサンゼルスまでの距離は、当時の船のスピードだと約15日もかかっていたんです。それが、20世紀に入って飛行機が登場すると、同じ東京-ロサンゼルス間が約15時間で移動できるようになりました。これは革命的な変化でした。21世紀、つまり現在から近い将来にかけては、ロケット技術の進歩により、東京-ロサンゼルス間を約30分で移動できる可能性が出てきています。技術的にはそこまで来ているんです。
確かに、技術の確実性を高めることや、そのための周辺技術の開発など、まだ対応すべき課題はあります。しかし、これらの課題を一つずつクリアしていけば、近い将来、ロケットによる超高速移動が実現する可能性は十分にあります。
グローバル化がさらに加速し、国境の概念が薄れていく可能性があります。また、ビジネスの形態も大きく変わるでしょう。例えば、朝に東京で会議をして、昼にはニューヨークでプレゼンテーションをするといったことが可能になるかもしれません。観光業にも革命的な変化をもたらすでしょうね。
まずロケット会社との関係からお話しします。現在、世界中に200社以上のロケット会社が存在しています。一方で、実際にロケットを打ち上げ可能な状態のスペースポートは、世界に20箇所ちょっとしかないんです。多くのロケット会社が打ち上げ場所を探している状況で、私たちは、とにかく打ち上げることができる場所をどんどん作っていこうとしています。ロケット会社からは非常に高い関心を示していただいており、「どこで打ち上げられるのか」「どういう条件で打ち上げられるのか」といった問い合わせを日夜こなしている状況です。
また、ロケットの打ち上げには、非常に多くの調整が必要です。法律の対応や、地域住民の方々のご理解を得ることなども重要です。私たちは、こういった課題に対しても地道にしっかりと取り組んでいます。
ロケットは地球の自転の関係上、基本的に東向きに打ち上げたいんです。そのため、東側に海が開けていることが重要です。日本は東にも南にも太平洋が広がっているため、先進国の中でも非常に恵まれた条件を持っています。ヨーロッパなどは東や北、南にすぐに隣国があるため、多くの国が打ち上げに適していません。先進国で東に海が開けているのは、アメリカの東海岸か日本の太平洋沿いくらいです。
良い質問ですね。昔は赤道近くが有利でしたが、最近は状況が変わってきています。北極と南極を結ぶ極軌道や、赤道に対して斜めに通過する軌道も多く使われるようになり、様々な方向に打ち上げられることが重要になっています。例えばスリランカです。スリランカ政府から直接お声がけいただき、現在スペースポート開発の取り組みを進めています。他にも世界中でスペースポート開発の動きがあり、私たちは様々な国の政府関係者と協力しながら、グローバルにスペースポートの運営を展開しています。
確かに爆発の映像はセンセーショナルで印象的ですよね。しかし、実はこれは安全のための意図的な措置なんです。ロケットに異常が検知された場合、制御不能のまま飛行を続けると予期せぬ場所に落下する危険性があります。そのため、安全な範囲内で意図的に爆発させて飛行を中断する技術が組み込まれているんです。
宇宙開発に携わる人々の間では、この爆発は安全装置が正常に作動した成果として捉えられています。実際、この経験を活かして和歌山県では今年12月に2度目の打ち上げを計画しています。
宇宙産業は急速に成長しています。ジェフ・ベゾスさんやイーロン・マスクさんのような世界的な企業家も宇宙ビジネスに注力していますね。シンクタンクの予測によると、2040年には宇宙産業の市場規模が100兆円以上になるとも言われています。これは現在の自動車産業に匹敵する規模です。
分野で言えば、スペースポートはその一つですが、他にもロケット開発、人工衛星、衛星データを使ったサービス開発など、様々な側面があります。これまで宇宙は「夢」のイメージが強かったですが、今後はビジネス視点からも注目されるでしょう。
インターネットやITと同じように、あらゆる産業が宇宙ビジネスとつながろうとしています。GPSデータを使った自動運転やUberEatsのようなサービス、人工衛星からの画像データや通信技術など、様々な分野で宇宙技術が活用されています。どんな産業で働いている方も、宇宙に注目しないということは、30年前にITに注目していなかったのと同じような状況になるかもしれません。宇宙産業は国も注目し、助成金なども出ています。この波に乗り遅れないことが重要です。
中村 祐輔(なかむら・ゆうすけ)
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 理事長
東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授。
1977年 大阪大学医学部卒業、病気の解明や治療に役立つ遺伝子マーカーを発見し、「ゲノム医療」を牽引してきた。 東京大学医科学研究所分子病態研究施設教授、東京大学医科学研究所附属ヒトゲノム解析センター長・教授、理化学研究所ゲノム医科学研究センター長、独立行政法人国立がん研究センター研究所所長、内閣官房医療イノベーション室長、シカゴ大学医学部血液・腫瘍内科教授・個別化医療センター副センター長、公益財団法人がん研究会 がんプレシジョン医療研究センター所長等を歴任、2022年より現職。原著英文論文は1,550編以上、その引用件数は200,500回を超える。2020年クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞を受賞した。令和3年度の文化功労者に選出された。ノーベル生理学・医学賞候補にも挙がる