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Radio Program

04th February 2025

Centralizing Concerns with a One-Stop Solution.

困りごとをワンストップで集約
シニアライフのかかりつけ医「めーぷる」 全国1000箇所の社会実装に向けて

Special Guest:MATSUMOTO NAOYUKI

スペシャルゲスト:松本 直之さま / 一般社団法人 シニアライフカウンセラー協会 代表理事


ー 本日は、当番組に以前ご出演をいただきました株式会社連携創造研究所の小林正和先生からご紹介いただきました、特にシニアの方のお困りごとを連携して専門家の先生方が解決する仕組みを全国に広げていこうというソーシャルイノベーターをお招きしております。本日のゲストは、一般社団法人 シニアライフカウンセラー協会 松本直之さんです。現在、シニアライフカウンセラー協会では、シニアライフカウンセラーの養成とともに、メープルというシニアライフ相談サロンを何施設運営されていらっしゃるのでしょうか。

スタートしているのが65箇所で、加盟いただいているところは103箇所になりました。

ー 今後、加盟も含めて全国で1000を超える規模になり、「困ったときはメープルズに相談すれば解決策が見つかる」という存在になっていくのですね。さて、介護や福祉は専門知識が必要ですが、突然の対応を迫られることが多いですよね。現在、メープルズには具体的にどのような困り事が多いのでしょうか?また、今の社会環境で特に増えている相談内容についても教えてください。

最近特に増えているご相談は、「お一人様」の問題です。

生涯独身の方が増えているだけでなく、結婚してもお子さんがいないケース、配偶者を亡くして独居になったケース、また子どもが遠方に住んでいるため実質的に一人暮らしの高齢者も多くなっています。現在、65歳以上の独居高齢者は700万人を超えていると言われています。

先日も、友人のお母様が一人暮らしをされていて、亡くなられたことに気づかれたのが10日後だったということがありました。高齢の方ご自身も「いつ何があるかわからない」と不安を抱えていますし、遠くに住むご家族も「本当に大丈夫だろうか」と心配されています。

さらに最近は、認知症や認知機能の低下が重なるケースも多くなり、「いつまで自宅で暮らせるのか」「どのタイミングで施設や病院に入るべきか」といったご相談も増えています。

ー 孤独死の問題は解決が難しく、報道でもよく取り上げられています。ただ、「孤独だから相談したい」と直接訪れる方は少ないのではないでしょうか。実際には、どのような悩みを抱えた方が相談に来られるのでしょうか。また、より気軽に利用できる場としての理想形や、支援が届きにくい方へのアプローチについて、さらにこの協会を設立された思いや、メープルを社会に広げようとした背景についても伺えますか?

メープルを始めたきっかけは、多くのお客様が「どこに相談すればいいのかわからなかった」と言われたことです。

施設への入居、見守りサービス、介護保険外のサポート、年金や資金の不安、不動産やお墓の管理など、相談内容は多岐にわたります。しかし、それぞれの専門家に個別に相談するのは高齢の方には負担が大きい。そこで、メープルが相続・終活・シニアライフの「かかりつけ医」のような役割を担い、初期対応の窓口となることを目指しました。

かかりつけ医が必要に応じて専門医を紹介するように、メープルでは司法書士、税理士、不動産業者、遺品整理業者、葬儀会社など適切な専門家におつなぎします。現在、横浜元町のメガドン・キホーテ内に店舗を構え、買い物ついでに立ち寄れる場を提供しています。

また、福祉ネイルやハンドマッサージ、スマホ教室などのイベントを通じて交流の場を作り、会話の中で隠れた悩みを引き出すことも大切にしています。話していくうちに、「実は困っていることがある」と気づき、専門家に相談する流れが生まれることも多いですね。

ー 確かに「どこに相談すればいいかわからない」という問題はありますが、例えば市役所や自治体にも相談窓口があるのではと思います。それでも、自治体や行政では対応しきれない部分もあるということなのでしょうか?

そうですね。行政や地域包括支援センターに相談される方も多いですが、そこで解決できることには限りがあります。実際に、行政や包括からの紹介でメープルに相談が来るケースも多いんです。

行政では話を聞くことはできても、具体的な解決に向けたサポートまで手が届かないことが多いのが現状です。一方、メープルは民間の団体として、相談者の困りごとを最終的に解決すること を重視しています。

加盟店には弁護士、司法書士、行政書士、税理士、不動産鑑定士、宅建士、ファイナンシャルプランナー、葬儀業者、遺品整理業者、介護系の専門家など、幅広い専門家がそろっており、さらに加盟店同士や外部のネットワークを活用しながら連携できます。

メープルのモットーは「相談者の困りごとをたらい回しにしない」ことです。難しい相談でも、加盟店の専門家たちが知恵を出し合い、最適な解決策を導き出せるよう努めています。

ー 医療や介護の分野は、日本が誇るべき高度なサービスをリーズナブルに受けられる仕組みが整っています。その一方で、それが当たり前になりすぎてしまい、保険外の費用負担に抵抗を持つ方も多いですよね。相談窓口の利用や解決にかかる費用について、また、メープルさんの収益構造について、可能な範囲で教えていただけますか?

私どもでは、相談はすべて無料でお受けしています。収益は、実際に提供するサービスから生まれます。

特に、介護保険外の生活支援サービスのご依頼が多く、例えば「買い物をしてほしい」「銀行や役所に同行してほしい」「介護タクシーを利用して一緒に出かけたい」といったサポートを求める方が増えています。また、ケアマネージャーとの打ち合わせに同席を希望されることもあります。

介護保険のサービスは非常に厳格で、例えばご夫婦で暮らしていても、介護保険を使えるのが旦那様だけなら、奥様の食事は作れない、掃除も旦那様の生活スペースのみというような制限があります。しかし、奥様も高齢で家事が負担になっているケースは多く、「ついでに手伝ってほしい」というニーズは非常に高いのです。

そのような介護保険ではカバーしきれない部分を支援するために、多くの方が私どものサービスを利用されています。基本的なサービス料金は、1時間3300円で提供しています。

ー 買い物や付き添いといった日常支援だけでなく、相続や不動産売買などの専門的な相談も対応されていますが、こうした分野は専門家がいることで安心して任せられ、不動産の仲介手数料などで収益が成立する仕組みでしょうか?

そうですね。メープルの加盟店は、もともと不動産会社や司法書士事務所、葬儀会社などの本業を持ちながら、「本業 × メープル」という形で活動しています。つまり、誰かの仕事につながる仕組みになっているんです。

単なる紹介ではなく、加盟店にはメープル独自のプログラムを受講してもらいます。このプログラムでは、日常生活支援、身元保証、死後事務、医療・介護・葬儀・相続・不動産など、シニアと関わるための知識を学びます。

そのため、加盟店は他の専門家の仕事も理解した上で連携し、適切な支援を提供できるようになっています。資格だけで紹介するのではなく、全加盟店が初期対応の知識を持ち、連携できるのがメープルの強みですね。

ー シニアライフのかかりつけ医を全国に広げるという取り組み自体が、とてもイノベーティブだと感じます。この取り組みを立ち上げた思いや背景について、お聞かせいただけますか?

私自身、長年相続の仕事に携わってきましたが、サラリーマン時代は 自分の専門分野の範囲でしか相談に乗れない というもどかしさがありました。ケアマネージャーやヘルパーの方々も、同じような悩みを抱えているのではないかと思います。

お客様に頼られる以上、家族のようにサポートしたいという思いがありましたが、企業の枠の中では限界があります。そこで、独立する際に 「すべての相談に応えられる仕組みを作りたい」 と考え、メープルの形を理想としました。

これからの時代、お一人様が増え、生前の身元保証、施設入居や入院時の支援、死後事務委任(葬儀やお墓の手配、不動産処分) などのニーズが高まっていきます。実際に、最近も公証役場で遺言書の作成や死後事務委任の契約を行い、「メープルに出会えてよかった」「これで安心して眠れる」と感謝の言葉をいただきました。多くの方が、不安で夜も眠れないという現状を目の当たりにしてきました。

「今の仕組みでは難しいことも、理想の形を実現したい」と思っていたところ、賛同してくれる仲間が徐々に増え、最初は小規模でスタートしました。メープルとしての活動はまだ2年ほどですが、この短期間で 全国100社以上が賛同 してくれました。

今後も、私の志や思いをしっかり伝え、さらに多くの仲間を全国に広げていきたいと考えています。

ー 専門家として自分の領域だけを解決することもできたはずですが、松本さんは「見て見ぬふりができない」という強い思いで取り組まれていると感じました。シニアライフ相談サロン・メープルには、シニアライフのかかりつけ医ともいえる専門家がそろい、加盟店の皆さんとともにワンストップで困りごとを解決できる仕組みが整っています。これからも、この取り組みが全国に広がるよう、私たちも発信し続けていきたいと思います。本日はありがとうございました!